トラベラーのコンピュータ。

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 ニョーボが言いました、「あなた本当にトラベラーが好きねえ」。

 はい、好きです。かなり好きです。このブログのタグの中で、一番大きいのはTRPGなのですが、それに匹敵しそうな数があるタグが"トラベラー"ですから。

 けれど、だからと言って不満がないわけじゃないんですよ。やっぱりね。

 

 不満点はシステムにも背景世界設定にもあります。

 例えば、能力値が修正値しか使わなくなる上、その幅が0~+3の4段階しかないとか(しかも実質+3はないに等しい)、技能がないとかなりのペナルティが着くのに、技能の数が多すぎていろんな重要な場面でクリティカルな技能がない事態が年中起きるとか。

 背景世界及びそれに関するデータやルールにもいくつも不満があります。

 トラベラーの星々の人口がどう考えても少なすぎるとか。人口規模2の世界は、つまり100~999人しかいない星なのですが、ハッキリ言って、日本じゃ町~村のレベルですね。大きめの中学校や高校3~4つ分くらいの人数ですから。文化や技術の維持が単独ではまずできないと思うんですよ。それが、惑星での話ですから。ゼロがあとふたつぐらい足されてもいいんじゃないかな。

 そして、未来世界のSFには欠かせないコンピュータ。
 トラベラーに登場するコンピュータは、非常に性能が悪いことで有名です。何しろ、宇宙船制御用のコンピュータは4畳半ぐらいのスペースを占領して、プログラムが2つ3つくらいしか走らないのですから。

 宇宙戦闘になると大変で、戦闘の最中にプログラムを出し入れしなくちゃならない。次のラウンドにどのプログラムを走らせるか、コンピュータの性能の範囲で選択しつつ作戦を立てなくちゃいけない。これ、ゲームとしては面白いのですが、実際の状況としてはあまりにもなんですよねえ......。

 これはトラベラーが1977年に作られたシステムだと言うことが大いに関係してきます。この時代のコンピュータは、ハッキリ言って、ここに登場するような性能のものでしたから。大学や研究室に一台しかなくて、コンピュータを使いたい人はパンチカードにプログラム打って、使える順番を待つという......すげぇ時代だなあ、おい。

 (若い人には信じられないでしょうが、コンピュータプログラムはコンピュータで書くものじゃなかった。紙の上で書いて、手書きでコーディングして、パンチカードに打ちだして、それをコンピュータに差し込んでいたのです)

 こんな時代ですから、未来になってもそんなに大きく変わるとは思われてなかった......のでしょうねえ。SFは未来予測小説ではないとは知りつつも、トラベラーのコンピュータ技術の予測と現実との乖離具合は、ちょっとひどいものを感じます。

 そのくせ、コンピュータが高度に小型化・高性能化しないと絶対に出来ないはずのロボットは割と簡単に出来てたりするのですよね。(そしてなぜか、ロボットによる宇宙船の自動操縦に関してはなんにも触れられていない)

 

 で、これに対処するにはふたつの方法が考えられます。

 1つは、無理やり現実のコンピュータ技術にすりあわせてしまうこと。つまり現代の技術を持ってしてもその大きさになってしまうようなコンピュータで、超複雑で超大容量のメモリ食い(従っていっぺんに2つ3つくらいしか走らせられない)プログラムを走らせているのだと解釈する。

 もうひとつは、「この世界のコンピュータはそういう低性能のものしかないのだ」と言う設定にしてしまうこと。コンピュータが発達しなかったパラレルワールドってことです。

 どちらも一長一短で、問題はあります。

 前者だとだんだんと矛盾が大きくなり、変なところで高性能、変なところで低性能の偏ったコンピュータ像になってしまうこと。後者だとプレイヤーがコンピュータを使ってなにが出来るか考えるのが難しくなること。

 前者の方法をとったのはメガトラベラーなのですが、おかげでどんどん歪なコンピュータになっていきまして。手動でプログラムを出し入れしなくてはならないのに、自動で通信して情報を流したりウィルスに引っかかったりする代物になってしまいました。(流石に戦闘中のプログラム入れ替えのルールはメガトラではなくなった) 宇宙船の姿勢制御や移動位置予測のプログラムが2つ3つしか走らないのに、セキュリティを突破するような高度なウィルスプログラムが走る余地はないと思うんですけどね。

 一方後者は私が自身のセッションで取っている立場に近いのですが、プレイヤーに「......と言うことをコンピュータにやらせたいんですが」「ごめん、それトラベラー世界のコンピュータではムリ」ということが年中ありまして。

 プレイヤーは当然現代日本のコンピュータで出来ることは(未来世界である)トラベラーのこうテックレベルのコンピュータでも出来るはずと考え、その手段を提案してくるわけです。

 それ自体は、私(レフリー)はとってもうれしいのですが、「この世界のコンピュータ、そんなに便利に使われたら世界観が狂ってしまう......」というときが多く(そもそもPCが出来るなら、専門家が考えついてやっていないわけがない)、「ごめん、それムリ」と言わざるを得ないのです。

 でもプレイヤーから見ると、レフリーがシナリオの都合上まずいところを押し隠すために、「ムリ」って言っているように思えるだろうなー。

 もちろんそれを別にしても、レフリーとプレイヤーの構想している世界のズレが頻繁に起きてしまうわけで......。

 ここらへんを補正した新版トラベラーとか出てくれるとうれしいんですけどね。

 

 ちなみに、そこらへんを補正し、もっと最近のSFっぽくしたTRPGシステムに「エクリプス・フェイズ」というのがあります。一言で言っちゃうと、「カウボーイ・ビバップ」+「攻殻機動隊」。宇宙に関してはカウボーイビバップで、人間関係(サイバーやクローン)、電子技術関係に関しては攻殻機動隊って感じ(もう少し進んでますが。魂のデジタル化が出来るくらいに)

 実はまだ1回もやってないので、いつかやってみたいと思ってます。

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このページは、makiyamaが2017年4月12日 09:03に書いた記事です。

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