前回は『ディセント』及び『ディセント2』の話を書いたわけですけども。
『ディセント』の大ヒットによって、フォロワーというか、同じようにミニチュア駒を使ったゲームがその後たくさん出まして。
もちろん、二匹目のドジョウを狙ったものもあるのでしょうけど、『ディセント』のヒットによりミニチュア駒ゲームの企画が通りやすくなって、今までやりたくてくすぶっていた人々が一気に企画を通し始めたというのもあると思います。
で、また前回述べたように、私のようにミニチュアつきボドゲに財布の紐が緩い人たちも一定数おりまして。
そんなわけで、最近はたくさんのミニチュア駒のボードゲームがあります。
ミニチュア駒ゲームはコンポーネントの値段が高くなるのが欠点なのでしょうけども、逆にミニチュア駒ゲームならばこそ買ってしまう層がいると言うことが知れ渡ったからでしょうね。一昔前よりかなりたくさん出ています。プレイヤーの駒だけミニチュアにしているものを入れたら、すごい数のボードゲームがあるんですが、ここでは敵味方複数の駒の大部分がミニチュア化されているものだけ取り上げることにします。
Dungeon SAGA
Dungeon SAGAは日本語版は未発売です。輸入しているショップがルールの和訳つけてくれてますが、私も自身で翻訳してみました。
まあ未訳作品を真っ先に挙げるのも気が引けるのですけども。
Dungeon SAGAは、まさしく『ディセント』(1)の正当なるフォロワーです。冒険者をコントロールするプレイヤー(たち)と、モンスターを管理するダンジョンロードとに別れ、ダンジョンハックをプレイするミニチュアのボードゲーム。
じゃあどこが『ディセント』と違うかと言いますと。
軽い。
すごく、戦闘が軽い。やれることが減っているわけでもないのに軽いのです。
使うダイスも、専用の特殊なダイスではなく通常の6面ダイス。これを敵味方振りまして、大きな数字順に並べ、先頭から1個ずつ付き合わせていく。攻撃側が大きな数字を出してればヒットになり、ヒットの数によってダメージが決定。モンスター側にはHPという概念がなく、ダメージ数が一定量を超えると即死亡。越えなきゃピンピンしている。
ダイスを突き合わせるところなど、日本製の『イースTRPG』に似てますが、それよりも遙かに軽い。
あと、この手のマスター側が多数のモンスターやキャラクターを管理するときに問題になるのがHPの管理なので(TRPGも同じ問題を抱えてますね)、これも簡単にしているのは大変評価できるところ。
問題はこの簡略化によってプレイが単調になってしまわないかという点ですが......ごめんなさい、プレイしていないので、ちょっとそこまではわかりません。
あとですね、『ディセント』と違って、自分のオリジナルの冒険者を作成することが出来ます。コンパニオンを導入する必要がありますけども。
そうそう、そのコンパニオンを含めて、けっこう拡張が発売されているのもよい点です。でもって、ミニチュアの出来もよい。モンスター、冒険者のフィギュアだけでなく、扉やテーブル、本棚や泉など、ダンジョン内の設備も多数ミニチュア化されてる。
それもそのはず、発売元のMantic社は、ミニチュアゲームのアクセサリーを中心にしたミニチュア会社なのでした。
というわけで、元々はミニチュア目的で買ったDungeon SAGAですが、今は日本語訳を自分でやったこともあって、プレイしてみたくてたまりません。
マッシヴ・ダークネス
『マッシヴ・ダークネス』はアークライトから日本語版が発売されているミニチュア駒ボードゲームです。
ダンジョンハックものですが、オーバーロードのプレイヤーはおらず、全プレイヤーが協力してダンジョンをハックする完全協力ゲームです。
これは数回プレイしました。
これもまた『ディセント』に触発されたひとが「俺ならこうする」と改良を加えたゲームなんだろうなあ、という感じです。マッシヴ・ダークネスの場合、勝てないオーバーロードなら、いっそなくしてしまえ、という感じでしょうか。
雑魚キャラは、雑魚リーダー以外はHPがなく、1ダメージにつき1体吹っ飛ぶという豪快にしてシンプルなルールも良い。モンスターの被ダメージ管理をどうするかは先ほども言ったとおり、この手のゲームの課題の1つですからね。
ですが......意外と1シナリオ、時間がかかる。
『ディセント』よりはややましだけど、『ディセント2』よりは喰う。いや、ホントにマシか? 今まで第2シナリオを2回ほどやったけど、どっちも5~6時間かかったよなあ。
なので、意外と疲れる。1日に2シナリオはキツい。
そして、これは個人の感想なんですが、意外と大味なゲーム感。
ダンジョン途中でレベルアップやそれに匹敵するアイテム獲得があるからかも知れない。
私なんかはここが気に入らないところなんですが、中谷くんなどは逆にここが気に入っているみたいで、ですからこれは個人の好み、感想と言うことになります。
でも『マッシヴ・ダークネス』がよい点はそのミニチュアの出来。
圧倒的に、よいです。現在(2020/7)出ているミニチュア駒ゲームの中でも一番よい。素晴らしくよい。
形もポーズもモールドも、すごく良い。
先ほど、Dungeon SAGAのミニチュアの出来がいいと言いましたが、それを二回りくらい越えている。
シタデルコントラストという塗料がありまして、これはモールドが深いミニチュアほど格好良く仕上がるという特徴があるのですが、これで『マッシヴ・ダークネス』のミニチュアを塗るとですね......。
うっとり。
という代物です。こいでさんなんか、ミニチュア代だと思ってこのゲーム買ったそうですよ。
(こんな出来のよい敵駒が、1ダメージ1体吹っ飛んでいくのはもったいないような気さえしてしまう)
ちなみに『ゾンビサイド』という、これまた好きな人には好きな、同じようなゲームシステムを使ったミニチュア駒ゲームがあるんですが......たぶん手を出さないだろうな、俺は(ゾンビもの、苦手だから)。
D&Dボードゲーム
正確に言うとこういうシリーズ名があるわけではなく、Wizard's Coast社が出したD&D世界を使ったボードゲームを、私が勝手にこう呼んでいるだけなのですが。
この中にもミニチュア駒ゲームがたくさん有ります。というか、俺が知ってる範囲だとミニチュア駒を使わないのは「ウォーターディープの支配者たち」と、もうひとつなんだっけな、内海を舞台にした商売と政争のゲームがあったけど、その2つだけだったような。
ま、それはともかく。
その中でも「キャッスル・オブ・レイブンロフト」「ラス・オブ・アシャーダロン」「レジェンド・オブ・ドリッズド」の3つは、明らかに『ディセント』を意識して作られたボードゲームです。ダンジョンハックがテーマですし。
ミニチュア駒は、それ以前に出ていたD&D公式ミニチュア(プラ製)の流用。しかも彩色されてません。まあそれでコスト安くして、50~60ドル程度で出したんだから、それはそれで偉いというか。(HJで出してた和訳ルール・和訳シール付きは7500円くらい)
D&D公式ミニチュアは、中盤以降はだんだんと出来のよいモノが増えたのですが、初期のものは結構モールドや造型が悪いモノもあって、ところがそこらへんも平気で使ってるんですよね、このD&Dボードゲームのミニチュアには。
ただ、数を揃えられるのは大変にありがたい。グレルなんてマイナーな怪物、3体も揃えるの、しんどいっすよ。(公式ミニチュアはもともとランダム封入されていたので)
(今気が付いたんだけど、ボドゲ駒のミニチュアが色塗ってないのは、トレーディング性を持たせた公式ミニチュアと区別するためなんだろうな)
あと、ダンジョンタイルもかなり出来がいい。そのままTRPGに流用できます。
ゲームとしての出来はといいますと。
......以前、1回松本さんと「アシャーダロン」やったんですけど、なんかいまいちだったんですよね。ですが、ネットでかなりハマって遊んでるというレポートが上がってるのを見て、遊び方が悪かったんだろうか、後日また改めてやってみよう......といって、まあ延び延びになってます。コロナ禍が終わったらやってみたいゲームの1つであります。
で、この3作のあとに発売された「ダンジョンコマンド」というシリーズ。これもミニチュアの原型には公式ミニチュアを使ってるんですが、色違いでペイントされてまして、選んである元モデルも出来のいいモノばかり。一体あたりのお値段は高くなってますが、これはこれで買う価値のあるシリーズになってます。
あと、ダンジョンコマンドの良いところはですね。
各セットが「ゴブリン軍団」「アンデッド軍団」という感じで色分けされているので、同じ系統のモンスターを確実に揃えられること。例えばキャンペーンシナリオ「赤い手は滅びの印」はホブゴブリンの軍隊が出てくるのですが、これのためには「ゴブリン軍団」を1~2箱買えば充分にミニチュアが揃えられるというわけです。いや、ひと箱5000円くらいしたけど。
あと、ダンジョンコマンドに入っているフロアタイル、これ、先ほどのダンジョンハックもののと接続できるようになってます。これもなかなか使い勝手が良い。
ゲーム自体は遊んだことないです。一度やってみたい......。
ほかにですね。先ほどのダンジョンハックものはD&D4版をルールのベースにしているんですが、この続編みたいな位置づけで、D&D5版ルールベースのダンジョンハックものが「テンプル・オブ・エレメンタルイビル」「メイズ・オブ・マッドメイジ」と出ておりまして(今はもっと出てるかも知れない)。
これも、ミニチュアが公式ミニチュアだったり、ダンジョンタイルが接続可能だったりするので興味あるんですが、輸入されてないふうなので、アメリカアマゾンから買うしかないかな。そしてそれは、コロナ禍終わらないとやたら時間かかるだろうな。
あと、「アサルト・オブ・ジャイアンツ」(進撃の巨人と訳してはいけない)という、ソードコースと地方を舞台に巨人の部族同士の衝突を描いた陣取り型のゲームも出てまして、これも公式ミニチュアのジャイアントばっかりが手に入るという素晴らしコンポーネントでして(しかも色がついている)、こっちは買っちゃいました。ずいぶん昔に。まだルール翻訳していないです。
ブラッドレイジ
バイキングと北欧神話をテーマにした陣取りゲーム。ダンジョンハックものではありません。
駒が全部ミニチュアなのが評判になりまして、ゲームとしてもけっこう面白いとの評判なのですが、ごめんなさい、プレイしてません。
ミニチュアの出来はかなりいいです。
クトゥルフ・ウォーズ
これ、忘れちゃいけませんね。以前も書きましたが、クトゥルフ神話の旧支配者になって勢力争いをする陣取りゲーム。なにより、どでかいフィギュアで評判になりました。
これ、デザイナーのサンディー・ピーターセン氏に言わせると、「クトゥルフ神話TRPGに出せるようにスケールを統一した」のだそうで、いやいやいや、こんな大きさなのかよ、それ以前にTRPGにこんなレベルの出すのかよ、と突っ込んでいます。
(とはいえ、そう聞いちゃそのうちTRPGに出すだろうなあと思う私)
サイズ~大鎌大戦~
この間の『ディセント』の記事でちょっと触れましたが、ミニチュア駒ゲームブームの火付けやくのひとり。キックスターター系はこれが火付け犯人です。
私も、圧倒的なビジュアルイメージとメック駒でやられてしまったクチで、キックスターターにこそ出資しませんでしたが、日本語版が出る前にショップ輸入版を購入し、ミニチュアに色塗ってます。
ゲームとしては陣取りに入るのかな。一応。
ゲームとしても出色の出来なので、改めて記事を書いてみようと思います。ので、ここではこれくらいで。
Dark Souls
これは未訳。
タイトルから気がつくかも知れませんが、PS3だか4だか(すいません、私その方面疎いんです)の傑作ゲーム(にしてマゾゲーの傑作)"DarkSouls"のボードゲーム版です。元のデジタルゲームは日本製なのに、このボドゲは海外製です。
ダンジョンハックもので、協力ゲームです。
ただし、とてつもなく難しい。
協力ゲームというのはだいたい、初見では成功しないような難易度になっていることが多いんですが、これはその分を割り引いても難しいというウワサ。そりゃそうだ、元のゲームが「死にゲー」と呼ばれるほど超高難易度のゲームですからね。
何しろ、このボドゲの箱開けた途端、これだ。
......なにをか言わんや。
敵がカードによる行動をするので、その行動を読めるようにならないと勝てないとか。なかなか手強そうですが面白そうです。はい、持ってるのにまだ和訳してません。
で、ミニチュアの出来なんですが、これがまた凄まじく良い。「マッシヴ・ダークネス」に迫る勢いです。
元デザイン自体はデジタルゲーム版の敵をモデルにしているのでしょうが、これがとにかくグロいというか、ダークな感じというか、「ベルセルク」な感じのデザインでよろしいです。なんていうか、ヌトヌトグチャグチャの汚らし系の生もののグロさでなく、いびつに歪んでるゴシックな感じのグロさというか歪みっぷりというか不快さというか。
で、それを破綻なく立体化し、迫力とグロさを両立させ、エッジもぎりぎりに切り立った造型で、ポーズもかっこいい。
...と絶賛してますが、一箇所だけ。一箇所だけ問題があるんです。
30mmベースなんですよ。25mmベースじゃなく。
普通のTRPGに使われるフィギュアはだいたい、ベースが25mm(というか1インチ)なのですが、ミニチュアフィギュア界では、このほかに30mmベースや他の数値(確か60mmというのもあったと思う)ベースのスケールのもありまして。
つまりが、TRPGに使うには大きいのですよ。
完全な怪物だったら、まあ気にしないって手もありますけど、一応人型をしていると......ねえ。
とはいえ、それだけであきらめるのはもったいないほどの出来なので、「こいつはスタチューなのだ」「こいつは巨人族」とすることにします。
いやほんとに出来いいのよ。
マンション・オブ・マッドネス
そうそう、これ、忘れちゃいけない。
『ディセント2』とならんで、気に入っているミニチュア駒ゲームです。
1と2が大胆に変わっている点もディセントと同じ。ただ『ディセント』と違って、1版の資産が2版にも活かせる(早い話が、連結して混ぜて使える)ところがいいところ。
2版はずいぶんやりましたが、1版は2~3回、他人がマスターでやったきりなのです。ですがここのところ、1版も(マスターで)やってみたくなってます。
ライジング・サン
アークライトから日本語版が出ています。
古代日本を舞台に、神様が陣取りするゲーム。なんですけどね。
これもミニチュアの出来は良いんですが......30mmベースなんですよね。
日本の神様のフィギュアなんかめったにないので、それが欲しけりゃ買うのも悪くないんでしょうけど、どこで出すんだって感じで、たぶん私は買わないだろうなあ。
ゲームはやったことがないのでなんとも言えませんが、出来は悪くはないらしいです。そういえば、これも元々はキックスターターだったはず。
スーパー・ダンジョン・エクスプローラー
一応一回やったことがあります。ダンジョンエクスプローラーという割りにはフィールドマップでしたけど。
で、その時の感じからすると、まあ......ねぇ......というゲームの出来だったので。つまらなくはないが、フィギュアのせいでつり上がったお値段がちょっと......と思いました。
でも、フィギュアがディフォルメキャラなので、好きな人は好きだろうなと思いますけど。
ちなみにこれ、海外メーカーなのですが、シリーズで忍者ものがあったように思います。うろ覚えで申し訳ありません。
ミニチュア駒ゲームの傾向として、ダンジョンハックものか陣取りものが多いような気がしますね。ダンジョンハックは、やっぱりTRPGから派生したせいもあるんだろうし。陣取りは、やっぱりミニチュアがばぁんと盤面に広がると気持ちいいからなんでしょうね。
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