『トラベラー』の変遷(1)。

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 この間はD&Dの変遷について書いたので、今回はトラベラーの変遷について書きましょうか。いや、実はホントに書きたいことの前振りなんですけどね。

 

 トラベラー初版の米国発売はwikiによると1977年だそうです。Wikiってけっこういい加減なことが書いてあるので、うかつに信じてはいけませんが(何しろ、日本語版Wikiには、スタークェストが日本で一番古いTRPGシステムだと書いてあった!(今は直ってます))、まあ、これに関しては問題がなさそうです。

 D&Dが1974年だったので、3年後となりますね。たぶん、この時期、D&Dがヒットして、追従のいくつものシステムが発表されたのでしょう。コンピュータネットワークが発達する前の時代ですから、こういった娯楽コンテンツの発達と消費のスピードは遅く、それを考えると、3年後というのは、かなりすぐにと言うことになると思います。

 で、SF-RPGとしては草分け的存在のトラベラーですが、それだけに今見ると、欠点がいくつもあります。

 その中の1つが、「汎用の行為判定システムがなかった」。

 初期のTRPGは基本、戦闘を楽しむように出来ています。言い方を変えると、戦闘以外のところの判定システムはないか、あっても非常にいい加減。

 例えば、D&Dでは、個別に判定方法が決められました。「ベンド・バー」、棒を曲げる。これの専用ルールがあり、そして筋力によって判定成功率が決まっていました。ほかにも、壁を登る確率、ワナを発見する確率、影に隠れる確率......行為によって専用の判定方法と成功確率が決められていました。

 でもまあ、こんな判定法でいつまでも行けるわけがないのはちょっと考えればわかること。すべての行為を書き連ね、その行為に対して判定方法と成功確率を設定することなど出来はしません(挑戦したシステムもあるみたいですが)。すぐにルールブックがランダムハウス(辞書)より分厚くなってしまうのは自明の理です。

 で、次に出てきたのが、汎用の行為判定システムです。が、これも初期はかなりいい加減な代物で。例えば、またまたD&Dを引き合いに出しますが、「関係のある能力値をDMが決め、プレイヤーがそれ以下をサイコロで出せたら成功」というルールもありました......オプションルールとして。(確か、緑箱で導入されたと思うのだけど、ひょっとしたら青箱だったかも知れない)

 そもそも、そのサイコロというのが、シナリオによって、20面だったり3d6だったりして一定していないという......まあ、あくまでもシナリオのローカルルールか、それを拡張した私家版ルールでした。こと、D&Dに関して一般行為判定が納得のいく形になったのは、3版を待たねばなりません。

 

 翻って、トラベラーはどうか。

 

 トラベラーにも、初期の頃は一般行為判定はありません。シナリオによって「サイコロで9+を出してください。DMは<管理>のレベルです」とか書いてあるだけでした。

 当然、戦闘が中心でないトラベラーは行為判定に関してすぐに行き詰まることになります。で、レフリーが適当に「今回は10以上ね、修正値は<航法>、知力がA以上なら+1」などと決めていたのですが、これだと、その場のノリというか、プレイの雰囲気や状況によって左右されやすい。なので、これを記録しておき、公平に適用するシステムが考案されました。これが、UTP表記と汎用行為判定システムです。

 

 これに関しては、以前書いたので、今さら繰り返しませんが。たぶんこのシステムが、さらに洗練され、他のTRPGシステムにも取り入れられていったようです。戦闘判定から派生した行為判定は、今や、戦闘関係のルールでさえ、一般行為判定の判定方法の延長上にあるように書かれるのが普通です。

 ちなみに、日本語版のトラベラーには、翻訳者のSNEが考案した「行為の基本成功率は8+、そこに状況や行為者の技能、能力によって修正が加わる」というコラムが付け加えられています。これで助かった日本のレフリーも多いようですし、また本家のトラベラースタッフにも影響を与えたようです。

 (実は私、このコラムの存在に気が付いたのは、プレイ後かなり経ってからなんですよねえ。いかにちゃんとルールブックやチャートブックを読んでいないか......)

 

 トラベラーの技能絡みに関しては他にもいくつか欠点があります。

 基本的には技能が無いとかなり難しい行為になってしまう(2d6において-3の修正)にもかかわらず、ひとりのキャラクターの持っている技能数が少なすぎること。特に、展開が後半になってくると、技能の種類がどんどん増えるにもかかわらず、キャラクターは4~6の技能しか持っていないことが多くなります。

 また、別の欠点として、技能によって、重要度がかなり違ってきてしまいました。同じレベル1でも、かなり汎用に役立つ技能、特定の限定された状況でしか使えない技能と分かれてしまったのです。

 で、ここらへんを整理し、汎用判定システムを取り入れたのが、メガトラベラーです。

 私がメガトラばかりやる理由は、これです。

 本当は今手に入る可能性の最も高い雷鳴版トラベラー(クラシックトラベラー)でやるべきなんでしょうけどねえ......。

(せめて、『偵察局』『豪商』のモジュールが出ててくれればねえ......)

 

 もちろん、メガトラにもいくつか欠点がありまして。

 トラベラーより複雑だとか(しかも洗練されていないので面倒くささ倍増)、トラベラーと微妙にデータ類がずれているとか、クラシックトラベラーとルールが(汎用行為判定システムを導入したことを除いても)変わってしまい、しかも矛盾しているとか......しかしまあ、一番の欠点は現段階でほぼ、手に入らないことでしょうね。

 

 あと1つ。私自身が気に入らない点があります。

 それはメガトラの背景世界です。

 メガトラの世界は、崩壊に向かう世界なのです。

(この項続く)

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このページは、makiyamaが2015年6月11日 08:32に書いた記事です。

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