光よりも速く。

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珍しく、デジタルゲームの話です。

ここのところハマっているのが、「FTL:Faster Than Light」というデジタルゲーム。

SF設定の、いわゆるローグライクゲームというヤツでして。つまり、コースとか敵とかイベントとかは毎回ランダムに生成され、一回やられるとまた最初からやり直しという。

コンピュータの黎明期にあったダンジョンハックものの「Rouge」というゲームが、こういうゲームだったんですね。文字類しか扱えないのに、それを駆使してダンジョンハックゲームを作ってしまうところも凄いけど、それにランダム要素を加えるのがまた凄い。日本で有名どころは「トルネコの不思議なダンジョン」とか「風来のシレン」とかですね、格段にグラフィックは進歩してますけど。「不思議なダンジョンシリーズ」ってヤツですね。

でもって、このFTLというゲーム、SF設定なのです。宇宙船に乗って宇宙を駆け抜け、目的地に達する。当然、相手も宇宙戦闘艇です。ここはRougeよりスタートレックですね。あ、スタートレックというのはRougeと同じ頃作られた、TVドラマ「スタートレック」モチーフの宇宙船のゲームです。

FTL07_s.jpg

FTLはFaster Than Lightの略で、「光より速い」つまり「超光速」という意味のスペオペ用語です。

で、FTLの設定はといいますと。

プレイヤーが操るのは一隻の宇宙船。使命はスタート地点から8セクター離れた宇宙連邦の基地に反乱軍の弱点の情報を伝えること。

......叛乱側と体制側が逆になっているけど、これほぼ「スターウォーズ:ローグ・ワン」の設定ですねえ。まあ「ローグ・ワン」と違って、宇宙空間の戦いがメインで、地表には降りませんけども。

 

というわけで、宇宙船(最初は1種類だが、実績に応じてどんどん種類が追加される)を駆り、連邦のために敵性セクターを突っ切るのですよ。燃えますねえ。

FTL03_s.jpg

......が。

 

実はプレイヤーがやれることはかなり限られています。宇宙船のワープ先を決定したり、クルーの移動を指示したり、エネルギーの配分を指示したりという程度。あと一応、武器の発射もコントロール出来ますが自動でも出来ますので。クルーは移動先に敵キャラがいれば適当に戦いますし(ただし自動的な撤退はしてくれない)、壊れた装置があれば修理してくれます。プレイヤーがクルーに指示できるのは移動だけ。

いわば、プレイヤーの立場は宇宙船の艦長、いや軍隊じゃないから船長かな、そういうものなのです。ただ、プレイヤーが直接操るキャラは登場しませんので、ひょっとしたら「歌う船」とかみたいに、プレイヤーは宇宙船のAIか組み込み脳髄なのかも知れないです。

 

行く手を遮る反乱軍や宇宙海賊を蹴散らし、その残骸の鉄くずを集めて、お金代わりにやり取りします。所々にあるショップでこの鉄くずを使って修理したり、装備を調えたり、乗組員の追加を雇ったりします。もちろんショップ以外でも装備や乗組員が手に入ったりしますし、突然イベントで乗組員が死んだりいなくなったりします。このイベントがまたスペオペっぽい面白いイベントが多くてねえ。

出てくるキャラクターも、人間以外に、昆虫人間マンティス、機械生命体エンジ、ケイ素生命体ロック......といった個性溢れる種族がありまして。さらにスキルが設定されており、もちろん冒険を続ける中で伸びていくのです。

 

世界としては、スタトレとスターウォーズを混ぜたいようなもの......なんですが。

端々が「トラベラー」なんですよ。TRPGの。

そう、それこそが私がハマった理由のひとつでして。

 

まず、この世界、超光速航法はあるが超光速通信はない。なので、情報を伝えるには宇宙船が行かなくてはならないのです。ああトラベラー。

さらに、ワープ(と訳されていますが、たぶん原語では「jump」ですね。ショートカットキーも「j」だし)が、あまり距離に関係なく(ただし最大距離はありそう)、1回のジャンプで同じ時間が経過しているふうのところもトラベラーっぽい。

エネルギー配分なんかに関しては、トラベラーと言うよりメガトラベラーですね。メガトラで宇宙船を作ると、ときどきエネルギーが足りなくなるので平時はどこにどれだけ配分して、戦闘時にはどう配分して...と言うことを考えなくちゃいけない。

そうそう、ミサイルは(必要エネルギー配分に対して)ダメージでかいけど高くて、レーザーは基本コストが要らない(エネルギー配分だけ)とかもトラベラーっぽいですね。いや、これはトラベラーに限らず、ちょっと考えればそういうことになるんですけども。

世界観的にもトラベラーっぽい感じ。いや、スターウォーズの世界の、混乱して無法地帯になっている宇宙がモデルなんでしょうけど。

連邦と反乱軍に関係なく商売をしてたくましく生きている人々、戦乱で逃げ出した難民、どさくさに紛れ勢力を伸ばそうとする海賊、こんな状態にもかかわらず研究を続けたりしている学者、科学者たち、自分たちの種族のセクターに閉じこもって他者を排除する異星人......色々な背景世界を想像させるイベントも盛りだくさん。

もちろん超精神生命体と遭遇したり、謎の全滅をしている船からお宝ゲットしたり、謎の疫病に冒されたコロニーに助けを求められたりとSFテイスト満載内弁ともありまして。

このイベントを見て回るだけでもけっこう面白い。もちろんローグライクゲームなので、ランダムで出てくるかどうか決まるわけなんですけども

 

とまあ、なにがモデルということなく、スペオペのいろんな要素がよくこなれて入っている感じがとてもステキなのです。

FTL01_s.jpg

これがスタート直後のゲーム画面。

クルーの名前は、ストックされているものからランダムに取り出されて使用されているようです。

敵にもちゃんと名前があるんですが(センサーを強化して敵艦を覗いたときや、敵が乗り込んできたときに表示される)、これも同じストックからランダムに引っ張り出して命名されているんで、何回もやってると前回のクルーと同じ名前の敵が出てきたりしてちょっと混乱してしまうこともあります。

 

初期武装はアルテミスミサイルとバーストレーザーⅡ。実体弾とレーザー兵器というのはやっぱりエンタープライズの光子魚雷とフェイザー砲以来の伝統ですね。

で、この2つの兵器、実は案外優秀で、最後まで使用することができます......つまり見劣りしない。アルテミスはミサイルとしては性能は標準的だけど、エネルギーが少なくて済む上に次弾発射までの時間がかなり少ない。

バーストレーザーⅡは1彈あたりのダメージこそ1ですが3連射できるので、シールドを3枚破れる。その上、これも次弾発射までの時間が少なめ。

この2つ以上の武器がないわけではないのですが、必要エネルギー量を考えるとかなり優秀。武器は4つまで装備できるんですが、武器への出力は最大8までなので、ヘタに必要エネルギー量4なんて武器を積むよりアルテミス(必要エネルギー1)とバーストレーザー2(必要エネルギー2)と、あと必要エネルギー量1の武器をなにか積んだ方が、実効的な攻撃力になります。必要エネルギー量が大きい武器はだいたい次弾発射までの時間が長いしね。手数が多いのはかなり強力です。

というわけで、兵器類は主に2種類、実体弾(ミサイル)を消費するものと消費しないものに分けられます。この下にさらに分類がありまして。

実体弾を消費するものはミサイルとボム。

ミサイルは消費エネルギーが少ない割りにダメージが大きく、シールドにも阻まれない。防衛ドローンには落とされるけど。ダメージは通常の他、船体亀裂(空気が抜ける)や火災を起こすことがある。

ボムは敵船内に爆弾をテレポートさせるもので、シールドやドローンに阻まれない。ただしダメージは同じ部屋のクルーと設備だけ。船体(総ヒットポイント)は減らない。火災を起こすことがある。

  

一方、エネルギー兵器にはレーザーとビームがあり。

レーザーは正確にはパルスレーザーで、弾を撃つみたいにピッピッと発射。シールドに阻まれますが、同時にシールドを一枚消滅させる。

ビームの方は一定時間照射し続けで複数箇所に命中させることが可能。シールドに阻まれる。

 

さらにそのダメージには通常ダメージの他に、火炎ダメージとイオンダメージが。

火炎は火災を起こすこともでき、クルーにもシステムにもダメージが与えられるが、船体(総HP)にはダメージは与えられない。

イオンダメージはシステムにだけ、ダメージを与える。

あと、生体ビームというのもありまして、これはクルーにだけダメージを与えるというひどい代物。

この組合せを考えるのもねえ、楽しいのですよ。

武器は、手動発射も自動発射も設定可能。なので、私はレーザーでシールドをなくした瞬間にビーム砲を発射するというやり方をときどきします(神経集中するので毎回はやらない)。

 

このほかに、戦闘ドローンによる攻撃もありまして。ドローンの起動パーツ(毎回消耗)は必要ですが、相手に破壊されるか、こっちのドローンコントローラーが壊されるかまで相手にまとわりついて何発もミサイルやビームを打ち続けてくれるので、非常に便利。

起動パーツはちょっとお高めですが、ミサイルと違って毎回の戦闘で数発もは使わない。こちらは発射のコントロールは出来ないんですが、射撃インターバルは船搭載のよりはるかに短いので悪くない。というか、このお値段(鉄くず8つ)で1戦闘分くらい持つのでヒジョーにリーズナブル。

ドローン制御装置を買って、ドローン本体(どうも設計図らしいですが)を買って、起動パーツ買って(消費して)、エネルギーを配分しなくてはいけないというコストのかかり方を考えても悪くない方法です。

 

敵船攻撃方法としてはもうひとつ、敵船に乗り込んで敵クルーを全滅させるという方法があります。ワオ、海賊。

敵船に入ったクルーを操作するのがめんどくさそうなのでやったことないんですが、どうも得られる鉄くず量は「降伏時<撃沈時<敵クルー全滅時」の順に多いみたいなので(きちんとは調べてない)、やってみると結構いいかも知れません。ひょっとしたら、敵船に乗り込んだクルーは自動で動いてくれるかも知れないし。突入ドローンというのもいまして、これならほったらかしにしても勝手に戦ってくれるし、ヒットポイント気にして呼び戻さなくても良いし。火炎ビームあたりと組み合わせるとかなりよさげですねえ。

FTL04_s.jpg

 

とまあ、こんなふうに攻撃方法も多彩なら、防御方法も多彩。

シールドはレーザーを止めます(対消滅してシールド1枚消えますが)。ミサイルも確率によって止めます(敵ミサイルの種類による)。ビームも止める......と思うんですが、シード1枚につきダメージ1分しか止めないかなあ(きちんと調べてない)。ときどき突破されているような気がするのよね。

回避。エンジンと操縦装置のレベルによって、攻撃を避けることもできます。しかも、エンジンの強化って意外とお安く出来るので。その分、効果が聞いているのかどうかわかりにくいんですけども。

防御ドローン。これはミサイルを撃ち落としてくれます。防御ドローンIIだとレーザーも撃ち落としてくれます。頼りになるヤツです。2つ飛ばすとかなり安心してられる。

で、乗り込み攻撃に対してはいくつか方法がありまして。

ひとつは、クルーによる戦闘。これ、医療室でやると、こちらのHPは減る側から治療され元に戻るので、かなり強いです。敵と同数か、敵がひとつ多いくらいならなんとかなる......かな。

あと敵が居る部屋の空気を抜いちゃう。ドア制御を2レベル以上にしておけば敵は突破するのに手間取りますし、制御室にクルーを配置しておけばもっと時間がかかる。で、扉の前で酸素不足でどんどんHPが減って、ついには撤退か窒息死せざるを得なくなると云う。例え突破されてもかなりHPが減ってるので倒すのは楽。問題があるとすれば、真空の部屋から飛びこんで来た場合扉が壊されるので、戦場となる部屋もどんどん空気が抜けていく。なので巻き込まれて味方クルーが死亡することのないよう気をつけねば。

さらに対人ドローンもありまして、結構頼りになる。真空の部屋でも戦ってくれるしね。

あと、テレポート爆弾や対人爆弾の一部は自船に対しても使えるので、これを使う手もある。ここで、なにも設備が配置されていない部屋が重要になるという。そういう部屋なら敵に対してだけのダメージで済みますからね。

こんな感じで、色々な手段が多彩に用意されていて、案外シンプルなゲーム画面には似つかわしくないリアルでそれっぽいSF戦闘が繰り広げられるのです。戦闘マニアとしても満足な感じ。

 

宇宙船の行く手を遮るのは敵ばかりではありません。たくさんの種類のイベントもあり、そして一見同じように見えるイベント導入部からさらに分岐していろんな展開が待ってます。場合によっては、宇宙船の装備や兵器、クルーの種族の状況によって選択肢や結果が変わったりする。単なる乱数みたいな時もありますけども。とにかく飽きない数のイベントと結果があるのです。

まあ、イベントの結果として、一瞬にしてクルーがいなくなるときもそれなりに多くて、序盤にこれを喰らうとキツいのなんの......。クルー3人で始まりますけど、実質4人いないと真っ当な運用が出来ないと感じてます。壊れたところ直しに行くどころか、シールドに人員配備する余裕も無い。侵入者に対応する余裕も無いんだ......(なのでドア制御の強化はかなり早いうちにやることにしてます)。

この、一瞬でクルーが死亡してしまうイベントの、非情さというかあっけなさというか冷徹さも、なんかスペオペ、というかトラベラーみたいで良いところに思えてくるんですよね。そう、宇宙は非情で冷酷なのです。

 

で、私、今のところ難易度Easyで3回ほどラストまで行っています。毎回共通する装備もあるのですが、その装備が強いのか、それとも私の戦術にマッチしているのか、ちょっとわからないところではあります。

Easyじゃない難易度にチャレンジは......しないと思うなあ。まだまだEasyでも8~9回に1回ぐらいの勝率だし、ロックが解除されたケストレル以外の船体でのクリアもしてないしなー。

FTL02_s.jpg

追記:ついさっき、トーラス巡洋艦Easyでもクリアしました。最初からイオン砲を持っているのは強い、というか、俺の戦術にあっている。

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このページは、makiyamaが2021年3月14日 18:02に書いた記事です。

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