実は、英語が、超がつくほど苦手でして。
大学も、二次試験に英語があるところは全部落ちました。けっこう低い偏差値の大学でも。
だから語学堪能な桂さんや楯野さん、岩波さん、鴨谷さん、朱鷺田さんとかには非常な尊敬を抱いてるわけです。
しかし虚仮の一念何とやら。こんな私でも英語を読まなくちゃならないというか、英文を読むぞ、と思う時があります。英文のゲームルールや資料を読むときです。
具体的には、今はルーンクエスト第6版ですね。pdfで買っちゃったヤツです。
桂さんが言うとおり、とても読みやすい英語です。俺でも辞書無しで、ある程度意味が取れます。もちろん、それは古い版のRQを知っているから、というのもあるわけですが、それを割り引いても、この私が英文を斜め読みできるってのは相当なものです。
現在、ヒマを見て翻訳メモを作っているところです。まだキャラメイクのところしか読んでませんけどね。
ま、ね。「翻訳者は翻意者」という言葉があるように、翻訳といったって、言葉を逐次日本語に置き換えればいいというものではないワケで。そんなことは機械翻訳見ていると痛感します。単語自体の選び方からして、翻訳者のセンスというのはありまして。翻訳者には、物語のシナプスを作る以外のすべての作家の才能が要るのです。
この点ですごいなと思うのは、やっぱり『指輪物語』の旧訳者瀬田貞二氏と、数々のSF翻訳の、野田昌宏氏。どちらも、原文と読み合わせると凄まじい言語センスを感じるそうです(自分で確かめたんじゃないのかよ、というつっこみ)。
瀬田氏のスティンガーをつらぬき丸と訳したセンスは確かにすごい。粥村は誤訳だそうですが、意味的には間違ってても雰囲気があります。あと、「ミドルアース」を「中つ国」と訳したのは、凄まじい知識量に裏打ちされたものです。中つ国とは瀬田氏の造語ではなく、日本の古語にある言葉で、人間界と人間以外のものが棲む世界との境目の領域を指す言葉だそうです。ミドルアースが実は現代地球に連なる、「まだ人間以外の知性体がいた頃」の世界だという設定を知っていれば、これ以外の訳語が考えられないほどにぴったりの単語であることがおわかりいただけるかと思います。いやあ、この中つ国という言葉の意味、割と最近知ったのですが、すごいですね。
野田昌宏氏もこれまたすごいセンスで。晩年の翻訳『銀河の荒鷲シーフォート』で、宇宙を航行するのを航天とし、これをナビゲートする職業を航天士と名付けてます。航宙、でないんですよ。普通、それまでによく使われた「航宙」の方を使ってしまいそうですが(航宙もひょっとしたら野田氏の造語かも知れないが)。この一言で、宇宙が海でなく、空になるのです。言霊という言葉の意味を納得せざるを得ません。
まあ、この世界、奥が深いから。上を見れば切りがありません。
プロでなく、あくまでも自分のために翻訳するのだから、と自分を納得させつつ、ちんまりと翻訳を続けています。いつか第6版で遊ぶために。
英語得意じゃないけど、自分の好きなゲームのために翻訳して商業出版しちゃった山北さんや田中克明さんは、すごいと思います。
中国地方は遠国と近畿の間だからだそうですね。
最近は中つ国と言うとミドルアースがメジャーになってしまったのですが、中国と言うと大陸のイメージが強くて色々苦労します。
あ。コメント返しするの忘れてた。
中つ国も中国も中国地方も、ごっちゃにする人が存在するってことですかいな?