メガトラベラーの行為判定方法について。

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 これからトラベラー新キャンペーンを始めるに当たって、ちょっと判定方法について書いておきたいと思います。

 メガトラベラーの判定方法は、ほとんどがUTP(標準行為書式)と呼ばれる書式で書かれており、簡便に、かついかなる時も同じ状況なら公平に判定出来るように記録しておけるよう考え出されたモノです。この「いかなる時も公平に」というのが、なんていうか、トラベラーらしいと言うか、当時のTRPGシステムらしいと言うか。ついでに言うと、私もレフリーやマスターをやる時、この「公平に」という点にかなり気をつけているので、性に合っているのでしょうね。

 そして、トラベラーの判定法は、いくつかユニークな特徴を持っております。

 

 メガトラの判定は2d6、つまり2個の(通常の6面)サイコロを使って判定します。

 レフリーが決めた難易度によって目標値が決まり、2d6+<技能>+能力値修正が目標値を上回れば、成功です。

 すごくスタンダードで素直に見えるシステムです。よくあるシステムです。(でも、たぶん、これを一番初めにやったのはトラベラー)

 レフリーは難易度(易、並、難、至難、不可能)を選び、関係する技能を選び、関係する能力値を決める。基本はこれです。他に、その行為が「危険」だとか、「不確定」だとか「対立」だとか、そういう特徴も決めることがあります。

 修正値とダイス目を足して、その値が、{易なら3以上、並なら7以上、難なら11以上、至難なら15以上、不可能なら19以上}を出せれば、成功。

 とまあ、一見どこにでもあるシステムですが。細かく読んでいくといくつかユニークな点があります。

1.やり直しが可能

 大抵のTRPGシステムの判定は、一度失敗したら、状況が変わる(新しい情報が手に入るとか、その行為に使う新しい道具が手に入るとか)まで再挑戦は出来ません。

 ところがメガトラは違います。例外的失敗、つまり目標値に2以上足りない失敗でない限り、再挑戦が普通に出来るのです。もちろん、時間は経ってしまいますし、他に消費するものがあったりすればそれも失われるのですが、基本的にはそれ以上のペナルティは無しで、再挑戦が出来るのです。

 例外的失敗をした場合でも、「継続判定」という行為(集中力が続くかどうかの判定)に成功すれば、再挑戦が可能なのです。(ただし「事故」という結果になった場合は除く)

 もちろん、行為が「瞬間」であるようなこと......つまり戦闘に置いて、銃を撃つとか、剣を振るうとかは再挑戦は出来ませんが、戦闘以外の状況でいくらでも時間をかけられるなら、事故が起きない限り、いずれ成功するのです。問題は、それが成功するまで、集中力が持つかとか時間がどれだけかかるかになってくるわけですね。

 

2.行為者が難易度をある程度修正可能

 大抵のTRPGシステムでは、ゲームマスターから与えられた難易度そのものを変更することは出来ません。有利な位置取りをするとか、その行為に便利な道具をもっているとかで判定に修正をもらうことはありますが、難易度自体を修正しているのではないので、いついかなる時も行えるわけではありません。

 ですが、メガトラでは行為を「慎重にやる」「拙速にやる」ことによって、難易度と、かかる時間をコントロール出来るのです。考えてみれば、この方が現実に即していると言えるでしょう。「慎重にやる」と宣言すれば、時間は倍ちかくかかりますが、難易度は一段階落ちます(ただし、その前に継続判定が必要ですが)。「拙速にやる」と宣言すれば、逆に難易度が上がりますが、時間は半分ぐらいになります(こちらには継続判定は要りません)。

 もちろん、これも戦闘の際の射撃のような、瞬間で終わってしまう行為に対しては使えない判定オプションなのですが、それでもこのように難易度コントロールの手段がプレイヤー側に公開されているのは珍しいシステムだと言えます。

 他にも事故判定のシステムとか、いろいろユニークな点もありますが、直接は行為判定方法に関係ないので割愛。

 

 606.jpgのサムネイル画像

 

 というわけで、メガトラでは実は、行為判定の際かなり重視される要素として「時間」があるのです。

 行為に費やした時間は次のように決めます。

 1)マスターが「単位時間」を決定(普通だったらこれくらいかかるよね、という時間の1/10)

 2)行為の判定に必要な修正値、つまり技能と能力値修正を算出。

 3)3d6を振り、ここから2番の修正値を引く。

 4)3番で算出した数値に、1番の単位時間をかけると、その時消費した時間になる。(成功失敗には関係ない)

 

 一般的な行為で、行為時間を算出するルールをもっているのはメガトラくらいしか知りませんね。もちろん、普通は「じゃあ、3d8時間かかったことにしよう」などとマスターが適当に決めることが多いと思いますが。

 また持続判定もユニークです。失敗しても集中力を途切れさせることなく、作業を続けられるかどうかの判定に使われるわけですが、<万能>技能があれば、そのレベル回数分だけ、無条件で成功することが出来ます。

 そうすると、どういうことが起きるか。

 技能を持っていない行為判定を行う場合、難易度が1段階上昇します。しかし、ここで「慎重」オプションを取ると、難易度が1段階下げられます。つまり差し引きゼロです(時間は2倍かかりますが)。慎重オプションが取れるかどうかは持続判定をしなくてはならないのですが、<万能>があれば、無条件成功。つまり、<万能>をもっていれば、技能を持っていない行為判定も、通常の(技能があるひとの判定の)難易度と同じ難易度で行えるのです。時間は倍かかりますが。

 万能があれば、時間が倍かかるが、どんな技能でも(慎重オプションが取れるなら)見かけ上、代用が可能なのです。

(まあ、厳密に言うといろいろ違うのですが。細かいつっこみをしないように、田中くん、鴨さん)

トラベラーではよくわからない運用のされ方をしてて、ひどく強いかひどく無力な扱いしかされてこなかった<万能>技能ですが、メガトラでは強力かつ限界の明確な技能として、使うことが出来るのです。

(これも、私がメガトラ判定法の好きな理由のひとつ)

 

 とまあ、ユニークな点が多い判定方法ですが、これらに似た要素を取り入れた判定システムがその後ほとんど出てきていないというのは、このシステムが洗練されてなく、使いこなされてなかったことの証しでしょう。ある意味、迷走の結果のあだ花的ルールなのかも知れません。このあかぬけなさが、先ほど言った「ダイス+技能+能力値が目標値以上」というシステムの元祖なんじゃないかと推測する所以です......つまりパイオニアだから、なんだか迷走していろんなコトをやろうとしちゃってる、と。

 しかし、これ、1回使いこなしちゃうと、他のゲームにも欲しくなるいいルールです。少なくとも私は、自分で作るルールには入れたくなりますね。

 

 また、難易度が7とか8とか、数字ではなく、段階的に決まっていることは、成功レーティングを出すことが出来るという長所があります。要するに、目標値をいくつ上回ったから通常の倍以上の成功、とかそんなふうに、成功を段階分けすることが簡単に出来るのですよ。これを使って、私が支援判定という判定方法を作ってみたのですが......これは項を改めて。

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このページは、makiyamaが2015年5月20日 16:25に書いた記事です。

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