メガトラにおける支援判定の導入~効果レーティングの副産物として。

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 田中克明くんが言いました。「TRPGには制圧射撃がない」と。

 制圧射撃というのは、ミリタリー関係、というか戦闘関係の言葉で、ある区域に敵が入れないように、そこに銃弾をぶち込み威嚇する戦法です。実際に敵を撃つんじゃなくて、入って来たら蜂の巣だぞとマシンガンや多数の銃弾を撃ち込み、敵の行動や移動を制限しようとするわけです。

 ほら、アニメやドラマでよくあるヤツですよ。「俺が行く。援護してくれ」と主人公が飛びだし、主人公が狙われないように味方が、敵をけん制して銃を撃つヤツ。

(正確に言うと、制圧射撃はエリアに対して行うもので、援護射撃とはまたちょっと違うのですがね。細かいことは今回は無視して)

 

 そう、アニメやドラマでよくあるシーンにもかかわらず、これをルール的に再現しているTRPGシステムはかなり少ない。『クレギオン』にあったかな。ミリタリー系TRPGの『トワイライト・ガンスモーク』や『ガンドック』にはあるんじゃないかと思うのですが、不勉強にも読んでないのでちょっとわかりません。あと、『トワイライト2000』にはたぶん、あるはず。あのGDWが作ったミリタリー系TRPGですからね、ないはずがない。でも......まあ、それくらいなのですよ。

 もちろん、そのルールがなくたって、似たようなことは再現出来るわけですよ。「このエリアの敵が、顔を出したらそこに銃を撃ちます」とか宣言して、マスターがNPCの心情をシミュレートして、敵がうかつに顔出して撃たなくなる。撃つとしてもぱっと顔を出してなので、命中にマイナスが付く。

 たぶん普通のユーザーはそうやって処理しているんじゃないかと思います。でもこれはルールではなく、マスターの裁量です。

 

 トラベラーでは、巻き添え判定というものがあって、マシンガンやショットガンのように広範囲に弾をばらまくタイプの銃器で射撃をすると、目標のまわりの連中も巻き添えの命中を喰らう可能性が生じます。たぶん同じGDWの『ダーク・コンスピラシー』にもあるんじゃなかったかな。

 でもこれ、命中判定がむちゃくちゃ増えるので、採用しているシステムはほとんどありません。そもそも、命中判定であって、直接的に抑止力を表現するルールじゃありませんし。

 

 マスターがキャラの心情(敵は撃ちたいけど、死にたくはない)をシミュレート出来ない状況下ではまるっきり役に立たないわけです。これらのルールは。

 マスターだって、NPCの心情をいつもシミュレートしているのは疲れるし。

 

 

 というわけで、制圧射撃や援護をルール的に表現する方法ですが。実は、効果レーティングを導入すると、簡単に表現出来るのです。

 「援護射撃をします」

 「じゃあサイコロ振って、効果レーティングを出して。効果レーティング2か。じゃあ、敵の攻撃を-2しよう」

 はい、お終い。

 ......あ。長い前振りに似合わないほど簡単に結論が出てしまった。

 

 まあ、そういうワケで、効果レーティングを使うと、一つの行為が、他の行為(特に他人の行為)に影響を及ぼすのを簡単に数値的に表現出来るわけです。

 援護射撃だけでなく、応援にも使えます。例えば、この間のオンセで実際に会ったシーンですが、エアラフトの上からライフル射撃をするということがありました。

 「エアラフトを操縦して、射撃者に有利になるように位置取りをしたいんだけど、出来ますか?」

 「じゃあ、エアラフトの操縦で、効果レーティング出しましょう。[並 <反重力機器操縦> 敏捷」 で。.........成功? では+2をボーナスとして、射撃に足していいですよ」

 と、こんな具合。これなら、射撃者以外の人がゲーム中ヒマにならない。ちゃんと戦闘に参加している気分になれる。

 

 さらにこれ、もう一歩進めて、プレイヤーに難易度を宣言させると、より再現度が高く、しかも盛り上がります。

 「援護射撃をします」

 「いいですよ。じゃあ、難易度をいくつにします? 難しいことに成功すると援護ボーナスは大きくなりますが、失敗したらまるっきり無駄になります。易=+1、並=+2、難=+3、至難=+4」

 「難......いや、ここは確実に、並にしておきます。ころころ......ああっ、いい目! これなら難でも成功したな!」

 と、こんな感じです。いや、これ、正確には効果レーティングではないですがね。出たサイの目がいくつであろうとボーナス固定になるワケだから。でも効果レーティングの概念が理解出来ていると簡単に理解出来ます。

 

 もう一歩進めて、難易度宣言を使って、カーチェイスなどを再現することも出来るのですが......まあ、ここまで来ると効果とか援護とかと外れてしまうので、これは項を改めて。

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コメント(9)

制圧射撃、ガンドッグにはありました。
プレイヤーの方が使いこなせてなかったですが。

バトルテックやトラベラーのエントリ、興味深く(そしてうらやましいなーと思いながら)読ませていただいております。

TRPGの制圧射撃ですと、「D20モダン」には自動火器で制圧射撃をするルールがあったと思います。
うろ覚えですが、連続する複数マスに居るキャラクターに対して、伏せ状態になる(被弾しない)か立ったままでいる(一定確率で命中弾を受ける)かの選択を強いる、という効果だったかな?
 セーヴに失敗すると強制的に伏せ状態で成功すれば選択できる、だったかもしれませんが、ともかく「頭を下げせる」効果ではあったかと思います。

これは色々なゲームで使えるギミックだなあ(でもファンタジー物しかやる機会が無いなー)、と思っておりましたので、ご参考になれば。

よろしくお願いいたします。

数年前の記事は見つけたりするのですが、過去ではなく今現在にこういう記事が出るのはすばらしい限りです。

記事の本質とは関係なくて申し訳ないのですが。

制圧射撃、
Direct FireでAutomatic Fireの中のDanger Zoneに当たる項目ですね。

twilight2000ver1.0(1984)の中にはありません。
2300ADはわからないのですが、
twilight2000ver2.0(1990)からのルールではないかと。
dark conspiracy1.0(1991)の中にもありますし、日本語版の中にもありました。

ルールは馬場秀和さんのトラベラー三昧の実習TNEの第12回と13回がわかりやすいです

twilight2000ver2.0、後の統一ルール2.2のルールは、
twilight2000ver1.0のサプリメント第2弾のpirates of the vistulaの河川での戦闘(河川用の戦闘ルールではなくて、ボートによる戦闘)ルールが原型ではと思います。

コメントありがとうございます。

>そもそも、命中判定であって、直接的に抑止力を表現するルールじゃありませんし。

これは的確に捉えていますね。
GDWのゲーム群の"制圧射撃"をしようしても、なかなか映画のような描写(リアルはわかりませんが)は難しいと思います。
結果的に近いこと、ほぼ同じことができるですかね。

プレイヤーの行為の宣言と、レフェリーのさじ加減でしょうか
(automatic射撃と、行動順が上のキャラクターが相手の行動を見ながら射撃するの2つがいるかもしれません)

効果レーティングをこういうことに利用するという考えは勉強になりました。

ダークコンスピラシーはTwilight2000ver2.0のルールを網羅していると考えてよいと思います(T2Kで化け物退治しているような)。

装甲車両を超える車両と重火器が少し弱いくらいですかね
(日本語版は軍事関係は削られてますが。ただし日本語版は倍くらい技能取得が容易になってます)。
T2Kv2の装備集なんかはそのまま変換せずに使えると思います。

DC日本語版のオートマティック射撃の説明は、チャートや図がないので少しわかりにくいかも。
文字だけでも馬場さんのトラベラー三昧の方がわかりやすいです。
ただ該当部分で
「サブマシンガンの命中対象弾数が12発。それを判定2発命中。ミスした10発で巻き込み命中判定」と書かれているのは間違いです。
実際は、上の例でいうと、ミスした10発の半分が、巻き込み命中の判定に使用。
5発で命中判定。仮にそれが2発あたったとするなら、残りの3発が、その場に残り続ける、移動阻害などにつかわれる弾です(巻き込み命中対象がなければ5発全部が残る弾)

ここはDC日本語版のルールブックの記述どおりが正しいです。

参考までにTwilight2000のver1と2の違うところは、

詳細な車両への命中処理が簡易的になった。
正面から当たった場合、装甲を抜いてドライバー、ガンナー、弾薬、通信機、エンジン、燃料タンクを当たるかすり抜けるか判定とか、車両1台ごとにデータを作らないといけませんし。
それが、進入したエネルギーによって、マイナーダメージ、メジャーダメージという形に(DC日本語版参照)。
基本形として距離ごとに近距離4D6、中距離3D6、長距離2D6、限界距離1D6というかんじだったダメージが、実際の武器に近い形に(運動エネルギー弾でここまで差は出ないでしょうし)

小火器でいうと、ボディアーマーで防いだダメージが、衝撃として入るようになった。
単一の値だった装甲係数というべきものが、距離によってかわるようになった(距離によって、防護物の装甲度がかわる。遠いと実質の装甲厚というべきものが増える場合も)。

反動値というものが加えられ、命中判定や処理にいろいろ影響を与えるようになった。

格闘戦に、殴る、押さえ込む、体当たりに加えて、締めが増えた(2.2で蹴り、とび蹴り、投げが増える)

イニシアティブという、行動順、士気、耐久力にあたる数値が加えられた

爆弾、榴弾、爆発物に破片だけでなく、衝撃波によるダメージというべきものが入るようになった。

一応すべてダークコンスピラシー日本語版のルールの中に入っています
(削られている部分にかかわるところで、説明がなかったりしますが、ルールには書いてあります)

イニシアティブに関して、イニシアティブ6だと6回行動できたりするのですが、のちの2.2では全キャラクター1回に。
Twilight2000ver2.0は一時持っていたのですが、許可を得てないものだと知って消去したので、T2Kv2.0でも、DCのようにイニシアティブの回数だけ行動できたかはわかりません。

T2K2.0と2.2の違いはほぼなく、武器の威力の基準が少し変わったようで、装備によって若干数値が違うくらいで、そのままつかっても大きな影響はないくらいです。

DCもT2Kも1D10だったのですが、2.2で1D20に変わっています

2300AD購入しましたので
2300ADに制圧射撃にあたるものがありましたとだけ書こうと思ったんですが、
「インフィニティ」というゲームをご紹介くださっているところに2300ADに触れられていたので。
あちらに書くと、インフィニティと関係ないことを長く書いてしまうことになるので、他の方の迷惑になると思いましたので、こちらに。

2300ADはTwilight2000のタイムラインにあるゲームと聞いていて、そう思っていたのですが、あとがきを見て、一応オリジナルゲームではないかと受け取りました。

まず詳しい背景を設定するために、ディプロマシーのようなゲームをつくり、1ターン5年で300年間ころがして、その結果を、すべてそのままかどうかわかりませんがゲームに取り入れたようです。
ゲームは1995年からで(プレイは85年の暮れ)、第3次大戦前夜。
第3次大戦はゲーム上結果的に起こったのか、そこは最初から決めていたのかわかりませんが。
GDWのスタッフが各勢力(一人のプレイヤーが複数の国)を担当し、プレイしたようです。
一部ルールや設定数値の情報なんかもあったんですが、書かれていないこと、また資料がなくなってしまった部分があり、GDWのスタッフ自体もすべてわかるわけではないようです。

そしてどうやってそうなるのか、どういうルールなのかわかりませんが、ソ連や中国、アメリカも分割独立してたり、日本がフィリピンや群島に「進出]wしてたりします(経済的に取り込んだみたいなことが書かれていましたが)

もしかしたら後からtwilight2000とかの国ごとの状態にも結果が反映されたり、参考にしたとかあるのかもしれません(T2Kの方が販売は早いですが、地域の背景情報とかのサプリは後はこのゲームより後のものも複数あるので)。

フランスが覇権を握っているのは第3次大戦に参加しなくて被害が少なかったかららしいのですが。
日本も参加しなかったようですが、後に露・ウクライナ(with欧)戦争に参戦して、露に止めをさしたりしてるようですので、よくわかりません。

名前はTraveller2300だとややこしいから、2300ADに変えたのではという噂は聞いたことあるのですが。実際はわかりません。

ゲームシステムは「どうせダークコンスピラシーのように、T2Kのシステムの使いまわしだろう」と思っていたのですが、
T2kv1.0やトラベラーのシステムやリサーチ結果を取り入れて製作したようで、
また2300AD以降のゲームに影響を与えたというか、このゲームの要素がそれらのゲームの中に見れたりします。

一応少し詳しく見たのはまだ個人戦闘に関することなのですが、MTが一番似ているかなあ、親和性が高いかなあと思いました。
このゲームの出版の翌年にMTなので、使いやすいと思うシステムを使っただけかもしれませんけれど。

3+、7+、11+、15+、19+の難易度のタスクシステムとか(1D10ですが)、ミス表、作業にかかった時間とか、後のT2Kなどには無い要素ですし。
Damage Point Valueという数値も、MTのダメージ・ポイントに当たる気がします。

T2Kver2.0やTraveller The New Eraほど細かくないし、かといってトラベラーほど簡単ではない(MTより本の少し難しい感じ?。2300ADの方が詳細な部分や、MTのほうがルールが整理され、洗練されていると思う部分もあります)。
実際にプレーするにはいいバランスではないかと思います。
ルールブックの宇宙船戦闘がMTの基本宇宙船戦闘に、独立のボードゲームがTraveller The New Eraに影響を与えているのではないかなあとか。

まあそれぞれのゲームが、他のゲームに影響を与えていると思うので、このゲームが特別とは思いませんけれど。

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この記事について

このページは、makiyamaが2015年5月22日 06:06に書いた記事です。

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