というわけで、この時期、ニョーボと娘と一緒に『オデッセイ』を観ました。
評判は聞いていたのですが、はい、噂に違わず、いい映画でした。いろんな点で。
なにより、分からず屋と卑怯者が出てこない点がいいですね。これが、見終わったあとの爽快感に一役買ってます。
まあ、なにぶんにも話題的に古くなってしまった映画ですが、ちょうど今、DVDやBlu-layになっているようなので、SF者なら見ておきましょう、『オデッセイ』。
SFで科学的で空想的なサバイバルものです。で、トラベラーの宇宙も割と(人工重力と超光速航法がある点を除いて)あんなものです。テックレベル9~11くらいかな、あれ。(13以上だと、もうちょいマシになると思う。スタートレックやバビロン5で一部のテクノロジーを除き、TL14~15くらいじゃないかな)
そして、そんなTLでも大抵の装備はダクトテープで応急修理できるのです。はっはっは。いや待て、そのTLのダクトテープだからそんなことができると考えるべきか。ま、SFに限らず、アメリカ人はなんでもダクトテープで直そうとするけど。
とにかく、超悪環境で、限られた資材を使ってのサバイバルという点で、いろんなアイディアが盛り込まれてます。「そういう手があったか」と「そうだよね、そうなるよね」のネタのオンパレード。ここらへんが、SF者のマインドを刺激して止まない点でもあります。単なるサスペンスものと違って。
あとねー。主人公の、ひたすら前向きな姿勢もいいですね。「ダメかも知れない」と思わない。失敗して落ち込むこともあるし、挫けることもあるし、疲れ果てることもあるけど、それでも無意味な自暴自棄にはならないしむやみな絶望もしない。自己憐憫も、運の悪さを嘆くこともない。かえって、主人公の前向きの姿勢に、観客の方が勇気付けられる始末。ちょっとないですよ、こんな映画。
音楽がまたいい。クラシックでもオーケストラでもない。80年代アメリカンポップス。音楽、特に洋楽に疎い私でも聞いたことのあるヒット曲が中心。もちろん、それぞれ使われるシーンには歌詞がひっかけてある。(日本語訳詞がついてたのは一曲だけだけど) そんでもって、さりげなく下品(笑)。
荘厳な曲、悲壮感に溢れた曲や勇猛な曲は一切使われていない。さすがにクライマックスの直前には、祈るような静かな曲が使われていましたが、それだって悲しみや絶望感を煽るような曲ではありません。
監督がリドリー・スコットと聞いて、もう一度ビックリ。リドリー・スコットは、エイリアンやブレードランナー、プロメテウスの監督。重圧感、圧迫感、閉塞感のある雰囲気の映画で、暴力表現を得意とする監督だと思っていたので。まあ、言われれば、宇宙空間のシーンなんか、エイリアンやプロメテウスの印象と似ていますけど。
とにかく、見終わったあと、鼻歌が出てしまうような、そんな軽快で爽快でマジメな映画です。ぜひにもお勧め。
コメントする