幻に煙るエベロン。

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 エベロン。それはD&Dの公式背景世界のひとつです。

 一言でいうと、ちょっとスチームパンクっぽい、魔法機械技術が発達した高度な文明社会と原始の荒野とが共存している世界です。ファンタジーとしてはちょっと珍しいです。つーか、始めっからスチームパンクものとして作られたシステムと超汎用システム(GURPSのような)を除けば、こんな大胆な世界を持っているのはエベロンくらいじゃなかろうか(日本には意外とたくさん有るけど)。魔法体系がD&Dのまま(追加要素はあるにせよ)というところが、凄い。

【3/31追記】あ、もちろんキャッスル・フォルケンシュタインやスペース1899を忘れたわけではありません。ですがこれらの世界には魔法はない(スペース1899)か、一般には使われていない(フォルケンシュタインは妖精はいるけど、魔法は具体的に科学技術のように知られているわけではない、一部の人の秘儀)ので除いてあるのです。

 

 で、TRPGを知らない人に一言で説明するなら「FF(7以降)の世界」が一番近いです。

 ちなみに他にどんな世界があるかというと。

 グレイホーク......わりとスタンダードな中世風ファンタジー世界。サイコのTRPGのD&Dの中でも最も古い世界。正式なD&Dサプリとしては翻訳されてない......んじゃなかったかな。AD&D日本語版の時に訳されたっけかな。

 フォー・ゴットン・レルム(フェイルーン)......中世風ファンタジーだが、グレイホークより魔法や魔法のアイテムがたくさん有り、一般人でも魔法に親しんでいるという「高エネルギー」タイプの魔法世界。マジックアイテムが金さえ出せばかなり高価な物が買える。D&Dは結構たくさんのコンピュータ版が作られているのですが、ほとんどはこの世界を舞台にしている。世界を指定したキャンペーンシナリオにもこの世界のものは多い。「バルダーズゲート」「ネヴァー・ウィンター」「アイスウィンド・デイル」(ドリズッドの冒険の舞台)といった有名な都市・地方はほとんどこの世界。なんだかんだで世界設定サプリとしての翻訳は多い。

 ガゼッタ......中世風ファンタジー。ただし社会は独特で、わりとシステマティック(そりゃ1000年も中世が続けばそうなるでしょうよ)。昔のD&D2版用の世界で日本で始めてD&Dが紹介されたときにいっしょについて来た。

 ドラゴンランス......小説「ドラゴンランス」シリーズの舞台。技術レベルや町などは中世風だが魔法を使うものは悪神のドラゴンに狙われているので、魔法を使えるものはごく少数。正式なD&Dのサプリとしては未訳。

 ダークサン......マッドマックスや北斗の拳のような、アフターホロコーストもの風の世界。魔法が枯れかけている。そして魔法技術体系錬金術体系なども完全に失われつつある。変な種族が多いのが特徴。未訳。

 レイブン・ロフト......ゴシックホラー風の恐怖味強めの世界。なのでテックレベルは意外に高い。SANチェックみたいなルールが付随する(しかしあそこまで兇悪ではない)。未訳。

 

 などがあります。でも、文中でちょっと触れたように、日本に正式に紹介された背景世界は「フェイルーン」と「エベロン」だけ(あと今は無き「ガゼッタ」ね)。ほぼ正反対に見える世界ですが、実は意外と共通項がありまして。「一般人が使える(買える)魔法アイテムが多い」「なんでもありの設定」(フェイルーンはモンスターとマジックアイテム関係、エベロンは種族関係に特に顕著)そしてどちらも「コンピュータゲームの背景世界になっている」。

 ダウンロード.jpg

 そう、エベロンもコンピュータゲームになっています。D&Dのオンラインゲーム「D&Dオンライン:ストームリーチ」に。ストームリーチというのはエベロンの中の都市の名前。

 ま、ちょっと熱狂的なファンがついたもののオンラインRPGとしては今下火だけど......。

 (でもこの時の蓄積が、4版のMMOティストを入れたシステムになったと思われる)

 

 話を元に戻して。

 エベロンはそういうワケで、ファンタジーRPGとしてかなりユニークな背景世界を持っています。

 実はこのエベロン、3版の頃にユーザーから募集したコンテストの入賞作らしいです。そのせいで、かなり大胆なことができたのでしょうね。魔法で走るライトニングレイル、飛行船、瞬時に情報を伝える魔法電信網......むちゃだ。うん、むちゃだ。ファンタジー警察が来るよう。

 そしてそこで炸裂するファイアボール、飛び交うマジックミサイル、剣戟の音! 陰謀ってのはある程度文明が進んでシステムマティックになっているところじゃないと面白くないし。

 そうそう、ゴブリンやコボルドもいっしょに街に住んでたりして、商売してたりするですよ。それどころか、暗黒街の裏路地にはマインドフレイヤーやビホルダーといった一見人間と共存出来なそうな異形の連中も......。ほら陰謀の種が!

 

 ま、これだけ魅力的でネタの宝庫のような世界だからこそ、コンテスト入賞したんでしょうね(もちろんそのあとのディベロップメントもお見事なんでしょうが)。

 やる気なら純然なファンタジーネタも、宮廷陰謀劇も、スチームパンク風アクションも出来るのが、エベロンの魅力ですね。そう、一言でいうなら「何でもあり」。

 

 というわけで、なんでエベロンについてこんなに熱く語っているかというとですね、あなまたからのスピンオフD&D4版キャンペーンの為に世界設定を読んでいたら、盛り上がっちゃったんですよ、私の中で。

 5月にはやる予定で、そのあと10回ぐらいは続けるつもりですから、まあ2年。保たせなくちゃなあ。楽しみだなあ。というわけです。久しぶりだし(ファンタジーキャンペーンは)。

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このページは、makiyamaが2017年3月29日 17:11に書いた記事です。

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