ルールと定石。

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 ボドゲでは、よく新しいゲームをします。なので、大抵1、2回はゲームルールをインストラクトすることになります。

 で。前々から思っていることなんですが。

 世の中、(ゲームに限らず一般論で)ルールと定石をごっちゃにして説明する人のなんと多いことか。

 

 ゲームでは、ルールがあります。勝利条件はルールで規定されています。

 でも、どうやったら勝てるか(勝利条件を満たしていくことが出来るか)は、ルールでは規定されていません。ルールから導かれることではあるけども。

 そして勝利条件は一つでも、それを満たすための道筋は何通りかあることが普通です。(そうでないゲームも結構あるけど。そういうゲームはソリティア+他者妨害要素で構成されます。ミルボーンとか)

 

 ......なのですけどもねえ。有利な戦略とか戦術をルールと混ぜて説明する人が意外に多い。違う違う、そうじゃない。

 例えば、将棋で説明しますと、「銀は前3箇所と斜め後ろ2箇所に移動する(移動して敵駒を取れる)」がルール。でも「銀は真正面につり出して無力化しろ」というのは定石でルールではありません。

 と、将棋あたりだとわりとピンとくるのですけども。これが「カタン」だの「ドミニオン」だのとなると、ルールと定石(あるいは有利な戦略)をごっちゃにする人が多いんですよね。定石を見いだしていくのも楽しみの一つ、って思わないのかなあ。

 今気が付いたけど、初心者の定石を知らないで打つ(不利な)手を怒り出してしまう「ベテラン」ってのは、定石とルールが感覚の中でごっちゃになっているので、ルール破りなことをされたような気がして不快になるのかなあ。

 

 まあ、抽象論でも説明しづらいので、私なりの意見で、「カタンの開拓者たち」を説明してサンプルにしてみたいと思います。

 まず大前提として、すぐにでもゲームが始められるセッティングをしておきます。で、実際にコマを持ちながら。catan.PNG

 「カタンはこの土地に、自分の町や都市や道路を建て、開発していくゲームです。町は一つ1点、都市は一つ2点。他にも点数の取り方はいくつかあるけど、基本はこれね。で、終了条件は誰かが10点以上点数をとること。10点以上なら11点でも12点でも良い。で、終わった時点で一位は一番点数の高い人。

 カタンは陣取りゲームと言われることもあるけど、勝利条件には直接、陣地の広さやどこにとっているかは関係ない。それは点数にならないんだ。とは言っても、勝利を目指すのに有利に働くようにはなるけど。

 まず、手番。

 手番プレイヤーは次の3つのフェイズを順番にやる。

1.資源産出(サイコロ)フェイズ。

2.交易フェイズ。

3.建設フェイズ。

 町や都市や道路はタイルの淵に置く(と実際にコマをおいてみせる)。町や都市の間は道路(辺)2つ分離れていないと立てられないから注意ね。立てるためにはこういう資源カードが必要。あと、当たり前だけど、他人の道路や町や都市があるところにも立てられない。普通は直感でわかると思うけど、相手の道路の間に町や都市を立てることも出来ないから。

 で、町や都市や道路を立てる資源カードをどうやって手に入れるか。3つの方法があって。

 ひとつは、タイルから産出する資源を得る。さっき言ったように、それぞれのプレイヤーの手番の頭にサイコロを振るんだけど、このサイの目に対応したタイルの資源が、そのタイルの淵に町や都市をおいてある人のところに産出する。町は1枚、都市は2枚ね。つまり都市はここでも町の2倍なんだ。

 そしてふたつめ、盗賊を使って資源を奪う。さっきのサイコロの目で7を出すと、資源が産出せず、盗賊団を動かせる。動かした先のタイルの淵に町や都市を造っているプレイヤーたちのうちのひとりから、資源カードを自動的に1枚奪える。ちなみに盗賊団がいるタイルからは資源が産出しなくなるから、嫌がらせにもなる。

 それからもうひとつは、自分の手番の「交易フェイズ」で、誰かと交易してカードを交換する。これは、基本的にはお互い1枚以上なら何枚対何枚でも良い。お互いに納得がいくレートで交換して、資源を得る。交易出来るのは、そのときの手番プレイヤーと誰かひとり。必ず手番プレイヤーが入ってなくちゃいけない。

 あと、正確にはこの交易の変形なんだけども、島の外と交易することも出来る。港を持っている場合はそれに応じたレート、そうでなければ同種4枚で、好きな資源と交換。

 資源は基本的に隠蔽情報で、人には公開しない。手札の上限は特にないけど、サイコロで誰かが7を出すと、8枚以上持っていると、枚数を半分にしなくてはならない(端数切り上げ)。誰が7出しても起きるからね、これは。

 後は特殊な点数の得方。

 まず、発展カード。

 発展カードを買うにはこんなふうに(と早見表を見せる)3枚必要。で、ここから一枚引く。発展カードにはいろいろあって、いきなり道を2本作れるものとか、盗賊団を自由に動かせるものとかあるんだけども。直接的に点数になるカードも入ってる。他にどんなカードが入っているかはヒマなときに説明書で見ておいて。

 次に、ロンゲスト。

 一筆書きで書いたときに最も長い道を作っている人に、ロンゲスト賞が贈られる。一応最低5本ね。もし、もっと長い人が現れたら、その時点でロンゲスト賞はその人に移る。ロンゲスト賞は2点になるから結構大きい。

 リッター。

 発展カードに騎士団(リッター)というのがあって、盗賊を動かすことが出来るんだけども、これを一番使った人がリッター賞をもらえる。これも2点。一応最低3枚。ちなみに7を出して動かすときと違い、資源カード8枚以上の人も半分にしなくていい。でも資源を奪い取れるのは同じ。

 発展カードは、購入した次の手番から、自分の手番内のどのタイミングでも使える。サイコロを振る前でも、交易の最中でも、建設が終わったときでも。あと、10点以上持っているときの勝利宣言も、同じようにどのタイミングでも出来る。まあ普通は建築してゴールインだけどね。あ、得点カードは使わなくても持っているだけで得点になるからね。

 勝利宣言は10点以上持ってれば、自分の手番に出来るけど、順位は点数が一番多い人、つまり必ずしも勝利宣言した人とは限らない。これ、注意ね。得点カードは隠し持てるし、単純に数え間違えしている場合もあるしね。

 それじゃ始めようか。初期配置はね、最初のプレイヤーから順番に町一個と道路一本を置いていく。最後までいったら、そこから今度は逆回りにおいてく。つまり最後のひとは連続しておけるわけだ。さらに、2回目の配置したら、その町が隣接するタイルから出る資源を一枚ずつもらえる。これが初期資源ね」

 

 とまあ、こんな感じですかね。

 個人的な見解ですが、勝利条件は早めに説明しておいた方が良いと思います。目的地がどこか、点数を貯めるのか、なにかの枚数を競うのか、広さを争うのか、お金のようなゲーム内リソースを貯めるのかを説明しておいた方が、その後の説明が、どこにくっつくのかわかり易くなると思います。概要から徐々に細かく説明していくわけですね。

 

 ゲームの概要。目的もしくは勝利条件。ゲームの進行手順。それぞれの段階でなにをするか、なにを出来るか。そして細則。

 

 全体にこの流れですので、例外的処理が一番最後に来ます。例えば得点カードによる得点は本来的には王道の得点法ではないというのが私の見解ですので、そのようにしてみました。

 定石の類はなるべく省いてあります。例えば前半はねんどが、後半は鉱石が重要になるとか、自分のたくさん産出する資源の港を早く押さえるとか、確率の話とか。でも確率の話ぐらいは説明してもいいかも知れません。特に、ゲーマーじゃない人にとっては、2d6が偏った目の出方をするということさえ知らないことがありますので。それでも、初期配置を始める直前で説明するくらいで良いと思います。

 ルールと定石。きちんと区別出来るかどうかが論理的な見方ってもんじゃないでしょうか。

 

 ところで、なんでこんなことをいきなり書きだしたかというと、実はプログラミングの本を読んでいて、改めて気が付いたのです。

 プログラミングの本でさえ、その言語の「規則」と「定石(定番の書き方)」をごっちゃにしているものがごまんとあるなあ、と。

 Rubyの本を読んでいたのですが、Rubyって結構、同じことを何通りかの方法で書けるようになっています。「言語」である以上、同じことを実現するのに何通りもの「表現」(というか「書き方」)が存在するのは当然なのですが(例えば"I am Makiyama." と"My name is Makiyama."のように)、Rubyはそれがかなり広いんですね。ループさせるだけで3~4通りある。

 にもかかわらず、この点に触れないで、自分の書き方だけで解説している本のいかに多いことか。おかげで混乱してましたよ。えっ、こっちの本だとオーソドックスなプログラムみたいに書いてあるのに、こっちはオブジェクト的な書き方で処理してある。どっちが正しいんだ? って。

 わかってしまえば他愛もないことなんですけど。って言うか、PerlやJavaScriptの時はそんな混乱はしなかったのに、なんでRubyの時だけそんな混乱してしまったのだろうか。

 とにかく、良い本に巡り会ったおかげで、ちょっと理解が深まりました。気張ることはなかったのね。難しく考えすぎてたわ。

(と書き始めとは全然関係ない結論を出す)

 

※画像はルール説明書より。

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このページは、makiyamaが2017年4月18日 18:21に書いた記事です。

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