ジャガイモ警察のところでも書いたのですが。
ジャガイモはビタミンCが結構豊富なのに、それが長期保存出来ます。他の生野菜系のビタミンCは時間と共にどんどん酸化して壊れてしまうのに、です。なにしろビタミンCは抗酸化剤としてお茶などに添加するくらいですから(お茶の成分より先に酸素と結びついて、自身は壊れ、茶の成分を守る)。
人間には必須アミノ酸というものが二十数種類あり、その中のいくつかは「ビタミン」という名前で知られています。
で、このビタミン、実は人間の体内でも材料さえあれば、合成出来ないことはないのです......ビタミンCを除いては。カロテンからはビタミンA、ビタミンBは誘導体、ビタミンDは日光浴で......というわけ。
で、ビタミンCだけはどうしても体外から取り入れるしかないのです。
これ、実は生物によって微妙に違ってまして、イヌなんかはビタミンCは体内合成出来るそうです。代わりにビタミンDが作れない。まるっきり余談ですが。
この間の「ジャガイモ警察」の記事では、大航海時代に長期保存の利くビタミンC供給源ジャガイモがあったら、壊血病(ビタミンC不足で起きる病気)が減って、もっと船の航続距離が伸び、世界の情勢が変わっていただろうという話を書きました。
この間のトラベラー「リヴァイアサン」キャンペーンで使ったネタなんですが。
このビタミンCを使って民衆を支配するというネタ。
その星は極寒の惑星、ほとんどが氷に覆われた大陸です。で、そこに住んでいる人々はほとんどがドーム都市で暮らしている。
ここが、18~19世紀のロンドンのように上流階級(支配層)と下層階級(被支配層)に別れているという設定です。これを成立させているのが、支配層だけが押さえているビタミンC剤の流通です。被支配層は、上流階級から配給もしくは高額で買わされるビタミンC剤のために、支配から脱却出来ない。生野菜も当然、上流階級が押さえてますしね。(氷原の惑星のドーム都市だから、野菜が作れるような所は専用のドーム内だけです)
当然、この星ではビタミンC剤は禁輸品です。他の都市では(というか、現代人であるプレイヤーの感覚では)なんてことのない栄養サプリが、政府転覆に値する禁制品になるのですよ。旅行者には怖いですねえ。(ちなみに、現代日本のビタミンCサプリは、ジャガイモから作るそうです)
ある星では貴重な物質がある星ではありふれた物質であるってのは、古典的なSFにも良くでてくるネタで(ダイヤとか黄金とかよくその対象になる)、あまりにも古典的であまり現代では見かけないネタですが、これを上手く使えたなあ、と自画自賛しております。それも、未知の(その設定のためにでっち上げた)物質ではなく、みんなが知っている物質の、すでに既知の性質に従って設定できたことが。
というわけで、TLもちょうどそれくらいだったので、この星ではビクトリア朝ロンドン風の描写で、身分違いの恋というオーソドックスなネタをやらしてもらいました。『エマ』です。
このリプレイはいずれ同人誌にするつもりです。ただキャンペーンの割と後半なので、だいぶ先かなあ。
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