『プエルトリコ』と言う傑作・名作ゲームがありまして。2001年の作品かな。その後8年にわたってBGGのベストゲームの1位に輝いたほどの作品です。 テーマとしてはプエルトリコの植民地経営でして、だからボカしてあるところマジメに突っ込むと少々やばめのネタがでてきます。労働者ゴマがなんで焦げ茶色なのかとか。労働者ゴマはどこから来るのか、とか。やべぇ、やべぇ。
で、これが後に「サンファン(2)」、「レース・フォー・ザ・ギャクシー」「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」「ニューフロンティア」に進化していくわけです。
プエルトリコ
まず全ての始まりはこれ。2002年のドイツゲーム賞を取った傑作にして名作なゲームです。 テーマはすでに述べたように植民地経営難ですが、画期的だったのがそのシステム。プレイヤーは毎回、何らかの役割を得、それに合わせたアクションを行うのですが、役割を選んだ人以外のプレイヤーもアクションが行えること。もちろん役割を選んだ当のプレイヤーにはアドバンテージがあるのですが、それにしても全員がほぼ同じアクションを行うというのはかなり革新的。
もちろん下地として、カタンの資源採取(サイコロを振った人以外も該当すればもらえる)など、他人の手番にもヒマにならないシステムというのもあったんですけど、ここまでアクティブなものは画期的でした。
以後、今回紹介する「プエルトリコ」の系譜に連なるゲームは全てこの「同時性」を受け継いでいます。
まあ、ゲームの概要に関しては、他にいくらでも詳しく解説してあるサイトがありますので、そちらを参考にしていただくとして。
私がこのゲームを好きな理由は勝ち筋の多さです。私の得意の戦法は本国への輸出で点数を稼ぐものですが、他にも建物を建てまくる戦法、人をたくさん雇って早上がりを目指す戦法などがありまして。それぞれにはさらにバリエーションが存在するという奥の深さがあります。
あとなにげにバランスはよく練られています。トウモロコシが10個なのにインディゴが11個あるとか。でも「工場」と「大学」はコスト入れ替えたものを正式のルールにしてほしいものだ。
プエルトリコだけは、アプリで散々攻略法を研究してプレイしまくったので、ちょっと自信あります。アプリのAIがね、またつえぇんだ。運があまり絡まないゲームで本当に強い思考ルーチンを持たせてるのは、やっぱり研究しまくったんだろうなあ。
サンファン(&サンファン2)
で、プエルトリコの姉妹ゲームとして、カードでお手軽に出来るようにしたのがカードゲーム版プエルトリコこと「サンファン」。これもアプリ版が存在します。
サンファンも、プエルトリコと同様、誰かひとりが行った役に基づくアクションをみんなでするプレイになります。最大人数が4人とプエルトリコよりひとり少ないので、役職も(金鉱堀を入れて)5つまでしかありません。
で、サンファンではもうひとつ、特徴的なシステムが取り入れられています。お金の概念がなく、コストを払うには手札を減らすことによって行います。プレイしているカードをお金として扱うのは「ポート・ロイヤル」もそうですけど、あれは手札じゃなく、山札から引いてきてずっと裏返しのまま使うものでした。(そもそも「ポート・ロイヤル」に手札はない)一回お金として持ってきたものは支払いまでずっとお金として扱うわけですから、手札にも支払いにも使うサンファンとはちょっと違いますね。
とまあ、なんかいい感じにプエルトリコの特徴とテーマを引き継ぎ、さらに新規システムも導入して最低限のコンポーネントにするという、なかなかよさげなゲームなのですが。
ゲームバランスが悪い。
勝ち筋が一本槍になってしまうと言うか、「ギルドハウス」が強すぎるので、これが来るか来ないかだけで結着がつきがちだという。
ギルドハウスは、コスト6と一番重くて、そう簡単に建てられる建物ではありません。ですが、絶対建てられないほどもキツくなく。立ち位置としてはプエルトリコの10金建築物なんですけども、もっと簡単に(と言うか、早い時点で)立てることが出来ます。あと、プエルトリコでは10金建築物は1つずつで誰かひとりしか建てられなかったのに対し、サンファンはそのような制約はないのです。なのでホントに、自分の手札に「ギルドハウス」が来るか来ないかでほぼ勝負が決まってしまうという。
コスト6の建物は他に「シティホール」(生産設備以外の建築物1つにつき1点の追加)「宮殿」(他の合計点数4点につき1点の追加)「凱旋門」(記念碑他特殊な建物を持っていると追加得点)とあるのですが、凱旋門は最大8点、シティホールは理論上は10まで行きますが、これも6~7点がせいぜい。シティホールもまあ8点くらい、いっても10点には届かないだろう......という感じなのに対し、ギルドハウスは平気で10点、12点たたき出します。生産設備1つにつき2点だから。
で、生産設備は比較的安く簡単に立てることが可能なため、生産設備をたくさん作ってギルドハウスのカードを待ち構えて立てるという作戦が一番有効で強いのです。実際アプリのサンファンの敵AIはこの作戦で来ますから。
サンファン2だと、バランスが取り直されてまして、ギルドハウスは、生産設備1つにつき1点、あと持っている生産設備の種類1つにつき1点となりました。1では最大18点だったところが最大14点になりましたし、実際には8~10点くらいが現実的な点数でしょう。
あと、これはたぶん......なので私の勘違いかも知れないんですが、修道院の下に入れるカードを選ぶタイミングが、「上限枚数まで減らした後」から「減らす前」に変わってる......ような気がするんですよね。修道院、この1枚入れるのがしんどくてしんどくて建てたの後悔するんですよね、なのでめったに建てません(ので、本当にサンファン1では減らした後だったかどうか自信がない)。
と言うことで、サンファンは「2」がお勧めです。
レース・フォー・ザ・ギャラクシー
で、ここからは又聞きなのでソースを提示できないのですけども。 なんでも、「サンファン」と「カードゲーム版プエルトリコ」の座をコンペで争った(そして残念にも落ちた)システムを、フレーバーをSFに置き換えて出来たのが「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」なのだそうです。
まあ、確かに似てますよね。そしてやや「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」のほうがルールややこしいかな、と思わないでもないです。
でも手札からの捨て札枚数がコストになるところは一緒。あと、誰かが選んだ役割に沿ってプレイヤー全員が同じアクションをするところが一緒。
あとですね。これは偶然なんだろうけど、プレイヤー人数によって全然プレイ感覚が変わってしまうところも似ています。まあ、これはプエルトリコ系以外にもたくさんそういうゲームはありますけども。
プエルトリコも3人の時と4人の時と5人の時では有効戦術が変わってきますけども、レース・フォー・ザ・ギャラクシーは3人以上と2人用は全然違います。ルールが違うんだから当たり前とは言えますが。
で、レース・フォー・ザ・ギャラクシーは2人用がとても面白い。凄くガチゲーになりますけども、かなり面白い。2人専用ゲームとして発売しても良かったんじゃないかと思うレベルです。
欠点としては、カードゲーム系の常として、どんなカードがあるのかを把握するまではけっこうしんどい(勝てない)というのはありますが(そもそもサンファンより枚数がはるかに多いから)、そこが面白いっちゃ、面白いのです。でもこのせいで初心者とはプレイしにくいんですよね~。そこらへんはサンファン2の方がとっつきやすいです。
ロール・フォー・ザ・ギャラクシー
レース・フォー・ザ・ギャラクシーの成功を受けて、続編としてでたのがこの「ロール・フォー・ザ・ギャラクシー」。ダイスでリソースを発生させ、それを割り振るゲームです。専用ダイスなので、お値段高めですが、やっぱり手に触れる"何か"があるのはいいモノです。 アプリだと自動割り振りボタンがあるので、かなり時間節約になるんですけども。
リソースがダイスということで、一見運ゲーに見えますが、実際にはその運をテクニックでねじ敷設ゲームです。むしろ運は、タイルの引き運の方が大きく左右しますね。正直、コスト6の技術、それも現在の他の技術や惑星などとちょうどマッチしたものを早く引けるかどうかが勝負を分けます。......ここらへん、ちょっと不満がないわけじゃないですが、でもまあ、初代サンファンよりはマシです。いくつも選択肢があるので。
あと、自分と他人が選ばなかったフェイズがなくなるのはレース・フォー・ザ・ギャラクシーと同じなので、他人が一体次に殿フェイズを選ぶかを読むのも重要な点です。
とはいえ、「運ゲー」の誤解のせいか、日本では(レース・フォーに比べて)あまり売れていないらしいですね。もったいない話です。
ニューフロンティア
で、「レース・フォー・ザ・ギャラクシー」から世界観を引き継いでボードゲームになったのがこの「ニューフロンティア」。
考えてみると、この系統のゲームの元祖がボードゲームの「プエルトリコ」なのですから、先祖返りですよね。
実際、遊んでみると、なんとなくプエルトリコにプレイ感覚が似ています。 さらに生産物が、お値段によって大きさが違うプラキューブを使うという気配りもあるんですが。
......このせいでわりとお高いのですよね、このゲームも。
私、1回だけこのゲームで遊んだことがあるんだけど、その時の感想としては「プエルトリコ持ってればいいか」でした。プエルトリコよりかなり高いですしねえ。
ということで、プエルトリコの系譜のゲームを追ってみました。
この系譜のゲーム、どこまでいくんでしょうか。いったんボードゲームに回帰してしまったので、もうこれでおしまいかも知れませんが......また新しいゲームを出してくれないかなーと思っています。
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